5. 1992年バルセロナオリンピック前に行われた中心市街地の改善 都市を多孔質にする
バルセロナ旧市街地の密度は今まで訪れたどの都市よりも高く感じた。老朽化した建物、昼間でも薄暗く通るのを躊躇われるような路地が多くある。
市街地の改善策として、1992年のバルセロナオリンピック前後に“都市の多孔質化”と呼ばれる都市改造が行われた。
老朽化した建物が集まる地区の一部を壊し、広場や公共施設を挿入していくという手法。
今回歩いた事例は以下の通り。
・ラバル中央広場
広場整備に伴い、791戸が取り壊された。幅50m、長さ300mのラバル中央広場が建設された。
・現代美術館周辺
リチャードマイヤー設計による美術館は旧市街地の中にあって一際目立つ。広場は学生やスケートボーダーで賑わっていた。
・バルセロネータ周辺の整備
画像の緑色の部分は整備された公園、オレンジ色の部分は高密度な住棟が整然と並ぶバルセロネータ。
ヨットハーバーに隣接する公園には植栽、段差、ストリートファニチャーの設置によって人が留まる空間がデザインされている。バルセロネータ中央には市場と広場が整備されている。
当時行われたプロジェクトに関して、阿部氏による「バルセロナにおける一体的修復区域の戦略と運用の方法論について」で詳細が述べられている。
プロジェクトに際しては立ち退きを強いられる住民の移転先も確保されていたこと、短期間のうちに計画を遂行する仕組みが整えられていたことも述べられていた。
日本においてバルセロナ旧市街地で行われた都市を多孔質にする手法が合うかは疑問もあるが、バルセロナ市域の西側、グラシア地区で行われていた歩行空間整備の試みは学ぶ点が多いと感じたので次の章でのべる。
参考資料
阿部大輔 「バルセロナにおける一体的修復区域の戦略と運用の方法論について」
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