・デュイスブルク ランドシャフトパーク
IBA・エムシャーパーク事業の一環として、立坑採掘工場、コークス製造所、鉄精錬所の跡地に整備されたランドシャフトパーク(LandschaftsPark)が1991年から一般に開放されている。
公園の維持管理は州の開発省が行っている。
デュイスブルク中央駅からトラム903号線に乗り約20分でランドシャフトパークノルド駅に到着。
そこから7分ほど歩くと公園の入り口にたどり着く。
ここでは当時のオフィス、工場、倉庫をリノベーションして様々な用途に転換している。
イベントホール、オフィス、ガスタンクを利用したプールなどもあった。
いくつかの工場はそのままの状態で残されており、中に入ることもできる。
ぞっとする面白さ
複雑なパイプと鉄の構造物が絡まりあう製鉄所に入る楽しさはなかなかのものだった。
観光向けに多少手は加えられているものの、工場の無骨な表情はそのまま残されている。
階段で上部まで登ることができるが、階段は勾配がきついうえに踏み板の隙間から遠くの街並みが見え隠れしてかなりコワい。
途中からは手すりにしがみ付くように登って行った。
来客者も多く、ガイド付きのツアーのような人々もいた。
さて、デュイスブルグのランドシャフトパークは柵のない運河やむき出しの鉄骨、先に述べたぞっとする見学施設等、子供たちが日常的に遊ぶには適さない面が多い。
この点は普通の公園と違う点だと感じた。
しかし、情報を発信する場所としてのインパクトは大きい。リノベーションされた施設は独特の内部空間を有し、そこで行われるイベントは何であれ絵になるものになる。
建造物そのものが場所の記憶を伝えるには十分なインパクトを有しており、これはデュイスブルグ住民のシビックプライドの形成にも貢献するのではないだろうか。
・エッセン ツォルフェライン
エッセン中央駅に到着後トラム107番に乗り換え20分ほど行くとツォルフェライン(Zollverein)に到着する。
施設は幾つかに分節されており、博物館、美術館、アーティストインレジデンス、デザインオフィスなどが入っているとのこと。SANAAによってデザインされた建物も敷地内にある。
敷地内部は自由に入ることができ、散歩を楽しむことも可能だという。
ランドシャフトパークの無骨な表情とは異なり、レンガ、鉄、ガラスで構成されたツォルフェラインの造形は洗礼されている。
OMAによって博物館としてリノベーションされた工場内部はごつごつとした構造物と博物館のビビットなデザインが対比をなす。
産業遺産に関する展示の他に、IBAエムシャーパーク事業で実施されたプロジェクトの紹介が展示されていた。
SANAAが手掛けた建物。
コペンハーゲンの建築博物館でこの建物で用いられた“BubbleDeck”と呼ばれる特殊な工法の展示があった。
写真のように鉄骨の間にプラスチック製のボールを挿入することで、躯体の重量を35%削減することができたらしい。これにより細い柱で大空間を実現しているのだとか。
エッセンの事例ではデュイスブルクと比較して、学ぶ場所としての性格が強かった。
ルール工業地帯の歴史や労働者の生活を垣間見ることができる展示は現存する構造物と相まってインパクトのあるものとなっていたし、IBAのプロジェクトらしい斬新な提案だと感じた。
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