2012年4月28日土曜日

ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 目次


ハンブルク及びハーフェンシティの街のデザインについて気付いた点を以下の9つの視点からメモしました。
  










ハーフェンシティのデザイン







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ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その1

1.水路のネットワーク

ハンブルクではアルスター川をせき止めて造成された2つの湖があり、それとエレベ川を繋ぐように複数の運河が設けられている。

橋の数が多いことでも有名で、市内にかかる橋の総数は水の都として有名なアムステルダム、ヴェニスよりも多いという。


水色の部分が水辺。


内アルスター湖の様子。水面に下る階段が水辺に向かい合う空間を作っている。


運河の一部。河川や運河は街歩きの際に自分の位置を確認する目印になることが多いが、ハンブルク程水路が多いとその役割は期待できない。

水は濁っていてあまり美しくはない。臭いはない。

ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その2

2.デザインされた高架


中心市街地の路線は地下化されている場所が多いが、一部は高架上を走る。
鉄骨による高架のデザイン性は高い。



長大な構造物は周囲の環境に与える影響も大きい。

無機質で長大な構造物は時に周囲の環境に負の影響を与えることもあるが、
繊細にデザインされたものは都市の機能的な側面を好感をもって捉えるのに貢献することもあるなと感じた。

ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その3

3.エレベ川沿いの遊歩道


エレベ川沿いの遊歩道にはレストランやギフトショップ等が並ぶ。
水面に近い遊歩道と、店舗の上に設けられている一段高い遊歩道が設けられているが、両者の繋がりは強くない。


ハンブルク港のシルエットが特徴的な景観を成す。

ブレーメン、デュッセルドルフ、バルセロナ等の水辺のデザインと同様に、遊歩道に沿って船を浮かべている。
楽しげな水辺の演出には効果があるのかもしれない。

昔使われていたクレーンが所々残されている。地区の歴史を伝えるオブジェ的な効果を期待したものと思われる。

鉄骨の橋が多い。ライトアップにより構造の美しさを強調していた。

ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その4

4.パサージュのバラエティ

内アルスター湖の南側にパサージュが多く設けられている。
歩行者専用道路と隣接するものもあり、中心市街地の歩行空間の充実に貢献している。

また、出入り口がアルスター湖に向くパサージュも複数あり、水辺の賑わいに貢献していると考えられる。




ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その5

5.塁堡跡の帯状緑地


1800年前後、ハンブルクはナポレオン率いるフランス軍に戦意の無さを伝えるために市域を囲む城壁を取り壊した。
この行為は裏目に出てしまい、1806~1814年にかけてフランス軍に占領された。
1813-14年の冬、皮肉にも占領軍は市民に対して城壁の再建と塁堡の樹木の伐採を命じた。

占領軍が退いたのち、ハンブルク市は塁堡跡地に公園を整備する計画を立てる。
公園の設計はブレーメンの城壁跡地の公園整備を手がけたアイザック・アルトマン(Isaak Altmann)。




現在では新たに日本庭園や植物園も加えられている。



地図を見ると中心市街地が運河、湖、河川、帯状の緑地で囲まれていることがわかる。
都市のレクリエーションの視点から見ると、緑と触れる様々な環境があり、それがネットワークされている価値は大きいのではないかと感じた。



参考資料
wikipedia アイザック・アルトマン
http://de.wikipedia.org/wiki/Hamburger_Wallanlagen


Hamburg environment-has-a-story
http://hamburggreencapital.eu/contentblob/2819910/data/environment-has-a-story.pdf


hamburg-green-spaces
http://www.hamburg.de/contentblob/1387248/data/hamburg-green-spaces.pdf




ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その6

ハーフェンシティのデザイン

6.景観の単調さを抑える工夫

ハーフェンシティではレンガや鉄の素材を基調としながらもユニークなファサードを持つ建物が多数建設されていた。

ゆがむ壁面をもつ建物。レンガを少しずつずらしながら配置していた。

垂直でない壁面、ランダムな開口部を持つ建物。

上階が遊歩道に飛び出す建物はとても多かった。

プレキャストコンクリートを用いた曲面をもつバルコニー。

ユニリーバのオフィスビルでは通常の壁面の上にETFを用いたファサードが重ねられている。

圧縮と引っ張りによる凹凸が特徴的な表情を作っていた。

隣接する建物もすべてデザインが異なる。

水辺に対して上階のボリュームが張り出す。

張り出したボリュームの下は遊歩道になっている。洪水時の対策として、建物の壁面は防水壁がも用いられており少し寂しい遊歩道になっているが、桟橋と船の存在により楽しげな空間が付加されている。

ランドマークの役割を果たす高層の建物にもレンガの素材が使われている。


デュッセルドルフ、ケルンでも河川沿いの再開発事例を見たが、建築のボリュームやファサードに特徴を持たせ、既存の市街地と全く異なる楽しげな街並みを作る手法は共通しているのかもしれない。




ドイツ・ハンブルクについてのメモ 都市のデザイン編 その7

ハーフェンシティのデザイン

7.水面に近づくためのデザイン


概要でも少し触れたが、ハーフェンシティでは洪水時の対策として堤防で地区を囲むことをせず、建物の防水性を上げ、道路が浸水したさいも安全に避難できる経路を確保することで日常の親水性を確保している。

今回はそのディティールについて気付いた点をメモする。

下の写真は水辺に浮かぶ桟橋。円筒の柱は固定されており、増水時には床のみが上下する仕組み。


床と柱が交差する部分。黒いゴムの跡がかなり上まで来ていることに驚く。

床と橋の接合部はローラー支持。橋は遊歩道とピン指示で繋がっていた。


増水時浸水する可能性のある建物の壁面は防水壁や鉄の扉、シャッターが設けられている。かなり無骨な印象。

 
新設される道路は洪水時でも浸水しない海抜8mより上に設けられている。

例外として、既存の建築群を尊重したSandtorkai地区では上記の基準を満たした道路を新設することが不可能であったため、増水時の対策として建物間に空中デッキが張り巡らされている。



通常時もデッキの上を歩くことができる。単なる非常経路としてではなく、店舗へのアクセスとなっている場所もあった。