2012年6月19日火曜日

オランダ・アムステルダムについてのメモ 東部港湾再開発編 概要


東部港湾地区再開発

・概要
東部港湾跡地開発はアムステルダムの中心市街地に隣接する313hを都市拡張計画として位置づけ、8500戸の住居を供給するプロジェクト。
1970年代から30年をかけて実施された。1985年の政権交代により官主導の公営住宅事業路線から民間を巻き込んだ共同化路線へ移行した。
開発地区は、屠殺地区、アントレポット ウエスト地区、KNSM島、ジャワ島、ボルネオ・スポールング地区、リートランズ地区の6つに分かれる。


・特徴

プラべラム(PLABRAM)

…都市開発プロジェクトの協議プロセスの取り決め。
プロジェクトを7つのフェーズに分け、フェーズごとに作業計画、協議、提案に関わる成果物を定めている。
フェーズ1~3は主に調査・計画に関わるフェーズ。フェーズ46は計画の実施・メンテナンスに関わるフェーズ。
参考資料ではアムステルダムの東部港湾再開発の事例、特にフェーズ1~3の計画段階における官、民、及び建築家の共同・協議の流れが述べられていた。


ニューディール

ボルネオ・スポールング島では、KMSN島、ジャワ島の順調な販売を見た民間事業者が計画の参入を希望し、4つの住宅公社と4つのディベロッパーからなる企業ニューディールがフェーズ3の計画プロセスへ参加することが認められた。

決定プロセスへの直接の参加主体は市の空間担当の助役、都市計画局、住宅計画局、企業ニューディールであり、これらの総称がプロジェクト・グループと呼ばれた。

各開発の利益は全体利益としてそれぞれのディベロッパーに利益分配された。これによりボルネオ・スポールング島での低層住宅の建設が可能となった。

West8によるマスタープラン

・各エリア(各島)が空間的な多様性を持つ(フェーズ2で決定された目標)

・庭付きタウンハウスという建築タイプに対する高い需要(ニューディールによる市場の分析)

以上の要求を満たすため、ボルネオ・スポールング島では“各戸が道路に玄関を持ち、庭を持つ”というコンセプトがプロジェクト・グループによって決められた。

これは、KNSM島、ジャワ島で子供のいる世帯が非常に少ないことを受け、ファミリー向けとして定評のある建築タイプを作るという目的にもあうものだった。

このコンセプトに基づいたマスタープランを選出する指名コンペが行われ、通りへの玄関・坪庭を持つ3階建て住宅と、彫刻的なボリュームを持つ中層集合住宅によって構成されたwest8案が採用された。

東部港湾再開発の代表事例としてこのボルネオ・スポールング島の事例が紹介されることが多い。

参考資料
笠真希「オランダにおける都市開発プロジェクトのプロセスデザイン‐アムステルダム市の意思決定プロセスの枠組み「プラべラム」を事例に‐」
東京大学cSUR-SSD研究会 編著「世界のSSD100 都市持続再生のツボ 」彰国社



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