2012年5月15日火曜日

オランダ・アムステルダムについてのメモ 都市の構造編



・概要
都市:アムステルダム
国:オランダ王国
州:北ホランド州(州都)
人口:780559 (2011.1.1)
面積:165.01k

参考URL
アムステルダム市 HP

・地形
目立った起伏は見られない。

・水系
運河が巡る。点線は城壁のあった場所。内側には半円の運河が複数見られる。

・緑地
中心市街地周辺では動物園、オーステル公園、ミュージアム広場、フォンデル公園が目立つ。

・街路網
城壁の内側にも街路網に幾つかのパターンが見られる。これは段階的に市域を拡大していった結果。

・路線網
左から鉄道、メトロ、トラムの路線網。
 


・歩行者専用道路
旧市街地の複雑な街路網が多数歩行者専用道路として利用されている。

・港湾再開発地区
旧港湾跡が住宅地として再開発されている。詳細は後述する。



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2012年5月4日金曜日

イギリス・ロンドンについてのメモ 都市のデザイン編 目次


・港湾ブラウンフィールドの再生 ドックランズ再開発
・アクセシビリティの改善 DLR(ドックランズ・ライト・レイルウェイ)
・ランドマークが集積する川沿い


・メインスタジアム周辺
・エコロジカルなアクセシビリティ
・ロープウェイの可能性


・コミュニティサイクル
・コンジェスチョンチャージ 渋滞税





・中世の都市構造にはめ込まれた近代的な建築群


・公園のデザイン
・ポテンシャルとリンク グリーンウェイの整備



イギリス・ロンドンについてのメモ 都市のデザイン編 その1


テムズ川沿いの再整備系

・港湾ブラウンフィールドの再生 ドックランズ再開発

1. ドックランズの概要

ロンドン・ドックランズはテムズ川に沿って発展した東西11.2km、面積22k㎡の地区。

ロンドンは古代ローマ帝国の植民都市として約2千年前に成立して以来、海外との通商により、その地位を確保してきた。
1960年代をピークに、商船の大型化やコンテナ化、航空機輸送の増大などにより、港湾としての機能を十分に果たせなくなり、その規模を縮小していく。

衰退したドックランズの再開発の為、ロンドンドックランド開発公社(LDDC)が、1981720日に設立された。

LDDCによる物理的な再生内容としては、
海水減退固定値600haの埋め立て、 58マイル(93km)に及ぶ道路の建設・改修、ドックランズ・ライト・レイルウェイ(DLR)、バス路線、ロンドン・シティ空港からなる公共輸送網の新設等がある。

ドックランズは大きく、
① Wapping and Limehouse,
② Surrey Quays and Rotherhithe,
③ Isle of Dogs,
④ Royal Docks
4つに分けることができる。

Royal Docksには1981年にロンドン・シティ空港を建設する計画が立てられ、1985年に着工された。

Isle of Dogsには1982年4月から10年間の期限付きでエンタープライズゾーンが設けられていた。
同ゾーンでは税制上の優遇措置がとられ、行政手続きの簡素化も図られており、現在では超高層ビルが立ち並ぶビジネス街及び地下ショッピングモールが建設されている。



2. ドックランズ・Isle of Dogsの歩行空間
掘り込み式港湾跡の周りには遊歩道や歩道橋が設けられ、人の流れが生じやすい工夫がみられる。水上バイクを楽しむグループも見かけた。
地区内には公園が多数整備されている。
 

公園にはさり気なく地下ショッピングモールへの入り口が設けられている。
地下にはトップライトにより明るい空間が広がる。
 

3. アクセシビリティの改善 DLR(ドックランズ・ライト・レイルウェイ)
再開発に伴い、1987年からDLRが運行されている。


下図を見ると、地下鉄はシティ・オブ・ロンドン周辺及び西側に偏っているのに対して、DLRはドックランズを軸にして東側を重点的に整備されていることがわかる。
近年再開発が進むドックランズ、対岸のグリニッチ周辺、オリンピック会場周辺を結んでいる。

 

主に高架、地下を走行する。Canary Whalf駅周辺では高層ビルの間を車両が走る。


参考資料
Transport for London HP
LDDC Monograph HP


・ランドマークが集積する川沿い
ウエストミンスター寺院、ロンドンアイ、テートモダン、シティオフィス、ゲートブリッジ、O2アリーナ等の新旧のランドマークを繋ぐように遊歩道を整備している

 
テートモダンと対岸のセントポール寺院を結ぶように歩道橋及び歩行者専用道路が設けられている。

レンゾピアノ設計の超高層ビルの建設も進む。

シティオフィス、ゲートブリッジ、その先にも歩行者空間は続く。
 
ゲートブリッジの先の遊歩道。建物の間には橋が架けられ、住人の庭のように使われていた。


イギリス・ロンドンについてのメモ 都市のデザイン編 その2


オリンピック開発系
2012年のロンドン・オリンピックを控え、競技場、インフラ、選手村の整備が急ピッチで進んでいた(旅行日は2012.4.10)。
当日は関連施設のガイドツアーに参加し地区を回った。
ちなみにロンドンでオリンピックが開催されるのは今回で3度目。

1. メインスタジアム周辺

オリンピックメインスタジアム周辺は以前運送会社や倉庫群等が広がっていた。
2012年のオリンピックを控え、280ヘクタールに及ぶブラウンフィールドを公園に変える取り組みを行っている。汚染された運河・土壌の洗浄が進められているという。(画像はMuseum of London Docklandsより)



2. エコロジカルなアクセシビリティ

運河がオリンピック会場周辺までめぐる。この運河沿いを遊歩道として整備し、テムズ川、オリンピック関連施設等を繋いでいるという。下の写真はオリンピック会場近くのパネル展示を撮影したもの。

オリンピック会場ツアーに参加した際もこのグリーンウェイのコンセプトについて説明していた。
会場へは地下鉄、DLR等の公共交通によるアクセスのほか、グリーンウェイによる徒歩・自転車によるアクセシビリティを重視しているということ。
オリンピックのイメージに合った健康的でエコロジカルな接続を目指しているという。
 

3. ロープウェイの可能性
ドックランズの一部、Isle of Dogs の対岸にはO2アリーナ・グリニッチミレニアムビレッジ等の再開発地域が並ぶ。両地区を分けるテムズ川には地下遊歩道はあるものの橋はなく、両者の関係は弱い(写真下はO2アリーナ)。

対策として、オリンピックを前に両岸を繋ぐロープウェイを建設している。

水辺にロープウェイを作る事例はポルト、リスボンにも見られるが、川の両岸を繋いでいる点、ロープウェイのポールをランドマークとなるようにデザインしている点が異なる。
起伏のない場所でロープウェイを設けた事例としても興味深い。

4. スタジアム・選手村

奇抜なスタジアムの周辺には選手村が設けられている。解説によると、オリンピックの後、選手村は地元住民、キーワーカー(教師、介護士等)の住居として使用されるという。

ガイドツアーではしきりに“レガシー”という言葉が使われていた。
オリンピックを契機に、緑地の整備、ブラウンフィールドの再開発、住居、インフラの整備を行い、イベント後より良い環境を残すという意識が強く感じられた。