2012年7月12日木曜日

スウェーデン・ストックホルムについてのメモ 都市のデザイン編 その4

4.記憶の場所 森の葬祭場
森の火葬場(スウェーデン語:Skogskyrkogarden、英語:Woodland Cemetery)は、アスプルンド(Gunnar Asplund 1885-1940)とレヴェレンツ(Sigurd Lewerentz 1885-1975)による共同設計。

1914年の二人のコンペ案が一等を受賞、幾度かの設計変更を加えながら1940年に完成した。

・十字架の道
当初のコンペ案を見ると、アプローチを受け止めるように斎場が配置されているが、のちに斎場は道の横に配され、ゆるい上り起伏と合わせて空と森に近づいていくようなアプローチ空間となっている。
この“十字架の道”について論じている、「「森の火葬場」、「十字架の道」に関する一考察 川島 洋一(敬称略)」の中から以下の文章を抜粋してみる。

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「十字架の道」の設計過程を検討すると、はじめ礼拝堂のポルティコへ向かって延びていたアプローチが、やがて背後の空や森の方向へ向かうように計画されるようになったことがわかる。

これははじめ、建物へのアクセスのための機能的な存在としてのみ理解していた礼拝堂へのアプローチに対し、建築家が象徴的な意味を込めることを意図したためであると推測される。

アスプルンドが、「十字架の道」を歩く者に対し、十字架を象徴的な記号として援用することによって、自らの死と対峙することを迫る内容のメッセージを込めたと仮定すれば、

視線が建物ではなく、北欧の自然に向かうことにより、そのメッセージはより有効に作用することになると思われる。

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建物の配置、起伏を活かしたランドスケープデザイン、フォリーの設置によって、公園全体に特別な意味が付加されている点は興味深い。

・軸線のデザイン
訪れる前は、英国式庭園のような有機的な散策道と木々の空間をイメージしていたが、
実際には地区内を貫くように幾つかの印象的な軸線が設けられていた。
 

 



 
 近年日本でも森林墓地や共同墓地、樹木葬に対する注目が増しているが、“最後の場所”としてのランドスケープ、建築が一体となった空間造形の議論も必要なのではと感じた。

・アスプルント設計の市立図書館
アスプルンドの代表作の一つ、ストックホルム市立図書館にも訪問。










参考資料
川島 洋一「「森の火葬場」の「十字架の道」に関する一考察 E. G. アスプルンドの研究・5」


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