2012年7月25日水曜日

フィンランド・ヘルシンキについてのメモ 都市のデザイン編 その1


1. グリッド状の街路網と歩行者天国
ヘルシンキの中心市街地はグリッド状の街路網で構成されている。
19世紀初頭から計画的に建設されたことに由来するが、
複雑な街路網をもつ中世都市の街並みとは異なる雰囲気が漂う。

グリッド状の街路網というと無機質で均質、悪く言うと殺風景なイメージを描いてしまいがちだが、19世紀に計画された新市街地計画にはグリッド状の街路網を持つものが多く、プロムナードや美しい公園、グリッドを斜めに貫く通り、通りと一体的に整備された建築群によって豊かな街並みが形成されていることも多い。

ヘルシンキでは斜面や隆起した岩盤、複雑な海岸線等、地形的な要素が加わることで、より多様な外部空間が形成されていた。
・街路網の概要
街路網の構成を見てみるとマンネルヘイミン通りを境にして異なる軸方向を持つグリッド街路網が隣接していることが分かる。

東側ではほぼ東西南北に軸線が向く。アレクサンテリン通りと線形のエスプラナーデ公園沿いには公共交通、各種ショップ、金融機関等が集まり、主要な横軸として機能していた。明確な軸線によって市街地から水辺へのビスタを確保している点は興味深い。

また、ウニオン通り沿いにはヘルシンキ大学、ヘルシンキ大聖堂、Senate広場等、重要な施設が連なる。
エラインタルハン湾によって市街地が南北に分断されているが、ウニオン通りは両者を繋ぐリンクでもあり、重要な縦軸である。

西側のグリッドは東側に対して35度程度傾いた軸線を持つ。Salomon通り沿いには幾つかの広場が連なり東側のそれとは異なる歩行空間を形成している。
特に、ゆるい傾斜を活かした通りのデザインは興味深い。

公共交通としてトラムの路線が密に整備されおり、トランジットモールも見られる。
スイッチバック式の鉄道駅舎は市街地に杭を刺すような形になっており、市街地を強く分断している。
しかし、両脇をトゥーロン湾とエラインタルハン湾、植物園や公園によりカバーされており、路線沿い特有の殺伐とした印象は薄い。

・歩行者天国
前述したとおり、ヘルシンキのグリッド状の街路網の一部は歩行者天国、トランジットモールとして整備されている。各通りは建築、舗装、植栽、傾斜によって多様な景観が形成されている。
エスプラナーデ公園やSenate広場、水辺の広場等が歩行者天国に接続することで人の溜りができやすい空間が付加されている。







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